探偵とは「探偵業法」によって、業務上特定の人物を尾行したり、特定の場所に張り込んだりすることを許された人物です。
しかし、法的な権限はないため、立場上は一般私人と何ら変わりありません。
例えば、弁護士や検察、警察などは調査や捜査の目的に応じて、許可を得て調査対象の敷地に入ったり、
物品を差し押さえたりして調べることができます。これを一般私人が行えば、
住居侵入罪や窃盗罪になってしまいますから、一般私人である探偵にはこういった権限がないことになります。
テレビや映画では探偵が事件を解決するというストーリーがありますが、現実の世界で刑事事件に首を突っ込むなどということはないでしょう。こういった意味で、探偵は特別な権限がなく、そのため、特別な資格を必要とはしない職業といえます。
しかしながら、調査料金をとって業務を行いますから、
調査に対する技術やノウハウ、法的な知識は当然必要になってくるでしょう。
浮気調査を例にとって見てみると、調査対象者を尾行して浮気の現場を確認して、
報告書に記載する文面を考え、撮影して証拠をおさえるという作業が必要になります。
この一連の作業でも、相手を尾行するための追跡能力が必要になるでしょう。
これは土地鑑も大きく関係してくるため、その土地や建物など、何がどこにあるかを知っていることが大切です。
さらに、追跡には車やバイクを使うことも出てくるので、運転技術も必要です。
調査対象者がスピードを出して運転するタイプなら、当然それに合わせて追跡するようになります。
もちろん、事故を起こしては調査自体が中止になってしまいますから、
追跡するという条件下でもスムーズに運転できる技術が必要です。
次に、調査中は相手の行動を記録していくため、
「5W1H」といわれる項目を常に頭の中に意識しながら、報告書に記載できるようにしなければいけません。
そして、証拠をおさえる場面になったらカメラでの撮影です。
浮気の核心的な証拠はラブホテルの出入りの場面ですから、
いざ撮影する時はカメラの扱い方や望遠、ナイトショット、赤外線を使用しての使い方を熟知して証拠を逃さないようにしなければいけません。
最後に、証拠がとれたらそれをどう活用して法的な手続きをとっていくかの知識が必要になります。
こういった技術や知識、ノウハウを得たいという気持ちが一番大切な資質といえるかもしれません。
探偵は隠密的な行動が主になりますが、対人的にはネットワークを広げておかなければなりません。
業務圏内の施設や店などは知り合いを作っておいて、いつでもたくさんの情報が得られるようにしておくべきです。
さらに、聞き込みでは相手から情報を引き出せるような話術も必要になってくるので、
対人的なスキルは磨いていくべきでしょう。
探偵事務所も営利目的の事業ですから、依頼を待つだけではなく、自社をアピールすること、
弁護士や行政書士などと知り合いになり業務を引き継いだりアドバイスを受けたりする必要もあります。
こういったネットワークを広げることも探偵にとって大切なことですから、資質に関わってくる部分かもしれません。
このように、探偵にはあらゆる要素が必要になってくるので、探偵学校や探偵事務所で技術を磨き、
現場で実績を積んでいくことが大切です。
資質も大事ですが、やはり現場での経験をどれだけ積んでいけるかも重要なポイントです。